医院ブログ

2016.12.05更新

 12月は28日午前まで診療(28日午後より1月3日まで休診)させていただき、1月4日より通常診療となります。お間違えの無いようにお願いします。今一度、普段の定期薬の残数などをご確認いただき、休診期間中に不足の恐れがある場合、早めのご来院をお願いいたします。

投稿者: 内科・消化器内科 杉本クリニック

2016.11.15更新

11月第2週より、当院のHP(ホームページ)をリニューアルいたしました。以前にも増して、ご来院くださる患者様やHPを御覧の方々に少しでも有益な情報をお伝えできるよう努力する所存ですので、何卒今後ともよろしくお願い申し上げます。
遅くなりましたが、10月22日の古川橋メディカルプラザの開業1周年記念イベントには多数お集まりいただき御礼いたします。HPリニューアルのゴタゴタで皆様への御礼が遅くなり失礼いたしました。

投稿者: 内科・消化器内科 杉本クリニック

2016.10.15更新

10月15日より当院ではインフルエンザワクチンの接種を開始いたしました。

普段健康に過ごされている方でも発症しますと、一定期間の休業を余儀なくされ、日常生活に支障を来しますので流行を迎える前にワクチンによる予防をお勧めいたします。

ご高齢の方、抵抗力の低下している方(癌などの治療中、不安定な糖尿病を患っておられる)、慢性の呼吸器疾患(喘息や肺気腫)等をお持ちの方は重症化が懸念されますので是非ともお受けください。場合によっては2回接種もご検討ください。大事を控える受験生も2回接種を考慮されても良いケースと思います。

*2回接種の場合の間隔は通常4週程度が推奨されています。

費用は13歳未満の方 ¥2.700、満13~64歳の方 \3.300、満65歳以上の方は¥1.000です。詳しくはお電話(06-6115-5086)でもお問い合わせてください。

投稿者: 内科・消化器内科 杉本クリニック

2016.09.21更新

よろしくお願いいたします。

投稿者: 内科・消化器内科 杉本クリニック

2016.09.12更新

がん検診の中でも、『大腸がん検診』はコストや手間も少なく(便を容器に採取するという行為に抵抗のある方はおられるでしょうが・・)、比較的ハードルが低い検診のひとつかもしれません。がん検診の趣旨としては、参加するハードルを下げで、多くの受診者を得て、がんの早期発見と早期治療導入に結び付けることで最終的には対象となるがんの生存率、治癒率を向上されるものだと思います。

その観点からすると、大腸がん検診は他のがん検診と比べると、自宅で検体を採取でき、場合によるとポストへ入れて結果を待てばよいので、ラクチンな検診といってもよいですね。

ただし、その結果に対する判断にはややもすると、落とし穴があるかもしれません。というのは、大腸がん検診で検出されるのは、がん細胞の存在ではなく、微量の出血反応(ヒトヘモグロビン)であるということです。どういうことかと申しますと、‘がん’が大腸内にできると、腸の中を進んでくる便塊が、正常の大腸粘膜よりはるかに脆く出血しやすい‘がん’の表面と接触することで、にじみ出た血液が便の中に絡み混入し、この便中の微量出血を検出しようというものです。よって、陽性反応のあった場合は、精密検査として大腸内視鏡検査をお勧めすることになります。ただ、ここでお気づきの方も多いと思いますが、出血イコール‘がん’の徴候というのは、オーバーであるということです。がんにまで進んでいなくても良性のポリープ、さらには腸炎、痔、異常血管からの出血などといったいわゆる良性疾患でも、便潜血反応が陽性になります。よって、大腸がん検診でひっかかって要精査と判定されたといっても、直ちにがんと判定されたわけではなく、「なんらかの出血原因を念のため調べておきましょう」という程度のニュアンスとご理解ください。便潜血検査で陽性の方が実際に内視鏡検査などでがんと確定診断されるのは2%程度と言われていますが、がんより悪性度の低いポリープまで広げると、便潜血陽性の方の半分程度で発見されると言われています。ですから、初めて便検査で陽性と指摘された方は、念のため精密検査をご検討ください。

一方、陰性との判定の場合、ほっと胸をなでおろされることとおもいますが、ポリープや早期がんが存在しても陰性である場合があります。であれば、便潜血の結果は全く信用できないのではと思われるかもしれませんし、初めから全員に内視鏡検査を勧めるべきという議論もありますが、これは精密検査(内視鏡検査)を実施する側のキャパシティの問題もあり、便の潜血反応をもって一定の線引きを行っているのです。ですから、腹部症状や便通異常がある(急に便秘傾向になっている、便は出るが細く少しづつしか出ない、排便前に急に差し込むような腹痛があり排便後に症状が良くなる、便秘と下痢を繰り返す、明らかな肉眼的な血便がある、便に粘液が混じることがある、便やガスのにおいが腐敗臭の様など)、大腸腫瘍の病歴又は家族歴がある等といった場合は、便潜血反応の結果の如何にかかわらず、精密検査を考慮いただく必要があるということです。

 大腸内視鏡検査

精密検査の方法は、精度からすると大腸内視鏡検査がもっとも勧められますが、やはり羞恥心や人づてに聞く‘苦しい検査’というイメージから、内視鏡検査は敬遠されがちです。長年、大腸内視鏡検査に携わってきましたが、受けられる方の苦しさやしんどいという声はゼロにはなりません。検査医の技量もさることながら、受けられる方の体型、手術歴(腸管癒着の有無)、大腸の緊張度(個人差があります)、大腸憩室の有無などにより、検査中の苦痛・違和感は個々によって、また同じ方でもその日の体調によっても変わることもあります。緊張感で腹筋に力が入りすぎても、スコープがスムーズに進んでいかないこともあり、適宜鎮静剤や鎮痛剤を使用しリラックスしていただく方が、比較的楽に受けていただけることが多いとは思います。ただし、これらの薬剤の副作用で呼吸が浅くなったり、血圧が下がることもあり、検査後もしばらく頭がボーとしてふらついたりすることもありますので、これらの薬剤を希望の方は可能な限り付き添いの方との同行頂くようにお願いいたします。

検査の準備(前処置)も施設ごとに少しづつ違いがあり、当院では前日夕まで普通に生活して頂き(前日の食事は消化の良いものを指導)、特殊な下剤を検査当日の検査開始4時間前(遅くても2時間前)から飲んで頂き、腸の中をきれいに掃除します。元々、便秘気味の方は検査の2-3日前から軽めの下剤を併用して検査に臨んでいただくと、当日の検査までの流れがスムーズに運びます。

 大腸腫瘍(大腸ポリープ、大腸癌など)の診断と治療

大腸の腫瘍はキノコみたいなポリープもあれば、わずかな粘膜の赤みで発見される平坦なもの、隆起が高く凸凹していて深い潰瘍を伴う一見してそれとわかる進行癌まで形態は様々です。大型のポリープの場合はやはり悪性度が高いことが多いですが、小型(10㎜以下)では良性がほとんどです。但し、良性の中でも全く心配のないもの(将来的に癌になる可能性がほとんどなく、治療不要)と、予防的な切除も考慮すべきもの(将来的がん化する可能性もあるもの)に分かれます。これば、通常の内視鏡の観察で判別することもできることもあれば、当院でも行っております拡大観察(顕微鏡のように拡大して腫瘍の表面構造を観察する)ことにより、より正確に悪性度を判別しております。従来はイチイチ腫瘍の一部かじりとって一旦腫瘍の悪性度を病理検査で判定して、別の機会に再度内視鏡を挿入し病変を切除しておりました。この場合、二度手間になるばかりか5㎜以下の小病変の場合、二度目の内視鏡の際に前回指摘の病変がなかなか見つからないこともあります。小病変の場合は襞の隙間に隠れてしまいやすいことや、生検で病変が小さくなりすぎて視認できなくなってしまう等の理由に因ります。よって、小さい病変ほど初回検査時に切除必要と診断できれば、その場で切除するに限りますので、当院でもできる限りその方針のもと、対処するようにしております。ただ、10㎜を超える大型のポリープの場合は、合併症の観点などから、より安全で確実な切除を行うため、提携病院での治療をお勧めしております。大腸癌のリスクを下げるために、一旦ポリープの無い状態(clean colon)を目指すというのが最近の考え方です。

投稿者: 内科・消化器内科 杉本クリニック

2016.08.03更新

8月は16日(火)は午前診のみで、午後診は休診とさせていただきますが、それ以外は通常通りとなりますので、よろしくお願いいたします。

投稿者: 内科・消化器内科 杉本クリニック

2016.07.19更新

今回は肝臓の病気の一つである慢性肝炎について書かせていただきます。その前に、肝臓って、どこで診てもらえるのかって事を度々耳にしますが、如何でしょうか?肝臓内科とか、肝胆膵内科のように肝とつけば分かりますが、普通はクリニックや病院で消化器内科が肝臓病も担当しています。当院も例外ではありません。消化器というと、胃や腸といった『管』状臓器を意味しますが、位置として胃腸と近くお互いに血管などのつながりのみならず、栄養素の取り込みや合成では密接に連携しあっています。よって、広い意味での消化器系臓器にふくまれています。
話が脱線しました。慢性肝炎に戻ります。年単位から10年単位にわたって、ジワリジワリと肝臓の細胞が破壊され続けると、肝臓が硬く縮んで働きの鈍った状態である肝硬変になり、さらには肝臓がんが発生してしまうという一連の流れがあります。基本的には、肝臓は余力の十分ある臓器ですので、肝細胞がジワジワ破壊されていても(健診データでALT正常値30以下のところが40~せいぜい200位まで上昇しても)、症状は殆どでません。よって、定期的な健診を受けていないと、まず早期診断が成されず治療時期を逸してしまいます。20年前になりますが病院で当直をしていて、突然の激しい腹痛で救急搬送された患者さんが、実は肝臓がんの破裂(がんが自然に割れて、お腹の中に大量出血)と判明し、なんとか緊急カテーテル治療を行いその場は一命は取り留めました(半年後に肝不全で亡くなられました)。この患者さん本人は肝がん破裂するまで全く自覚症状もなく、健診なども受けておられなかったため肝臓が悪いとは露ほどにもご存知なかった事には正直驚きました。
とことで、慢性肝炎の原因として問題となっているのが、ウィルス性肝炎です。そのほとんどを占めるのは、B型肝炎(20%)とC型肝炎(70~80%)です。
今回はC型肝炎について述べさせていただきます。大方は血液を介して感染しますので、1989年以前(C型ウィルスの発見される前)の輸血、刺青や覚醒剤注射の回しうちなどによって感染されていることが多いとされていますが、中には全く感染経路がわからないケースもあります。基本的に感染力は弱く、食器や洗濯物、出産及び授乳、性行為等では感染することは少ない考えられています。
感染の心配のある方はお近くの医療機関や肝炎ウィルス健診(お近くの保健所や厚労省HP参照)にお問い合わせ下さい。実際の流れとしては血液検査でHCV抗体を測定し陽性反応を確認した後にさらに詳しい検査(ウィルス量やウィルス血清型などの血液検査、腹部エコー検査など)を追加し、現時点で治療が必要な状態かを判断されます。
治療法は、以前ではインターフェロン(IFN)を中心とした、いわゆる副作用の’しんどい’治療しかありませんでした。インフルエンザ的な高熱、鬱症状などが辛すぎて治療が最後まで完遂出来ず、ウィルスを撃退に至らないまま治療を中止しまったということが少なくありませんでし、IFN治療が生まれつき効きにくいといった方もおられれ、IFN治療には越えられない限界が存在していることが判ってきました。
それに代わって、この2ー3年前から登場したインターフェロンフリー治療(IFNを使用しない)治療法が登場しました。注射不要で内服のみで済みますし、IFNのしんどい副作用からは解放され、何よりIFN以上の高い効果が期待できるのです。高額な治療ですが、国の公費助成の対象にもなっており、3~6ヶ月間の治療期間での自己負担額上限は月額2万円(または1万円)です。
C型肝炎にお心当たりがあったり、以前から判っていてもなかなか治療に踏み出せなかった方は是非とも一度ご相談ください。
ちなみに公費助成の申請書は日本肝臓学会の専門医(小生も有します)にしか作成資格がありませんので、まずは医療機関にご確認ください。

投稿者: 内科・消化器内科 杉本クリニック

2016.05.16更新

血圧のお話

新年度の始まりからはや1ヶ月少々が経過し、新年度の健康診断を受けられている方もおられるのではないかとおもいます。
とことで、’けんしん’には健診と検診がありますが、よく混同されています。前者は、健康であるか、病気のリスクがないかどうかをチェックする事に重点をおいています。特定の疾患を拾い上げることを主目的としていないのが前提です。それに対して後者は、種々のガン検診に代表されるように、特定の疾患の有無を拾い上げることが目的です。
健診で指摘される肥満、高血圧、糖尿病、脂質異常症(以前は高脂血症と呼ばれていました;血中コレステロールや中性脂肪が高い状態)等はこれらの病態が命に直結するというよりは、より深刻な合併症を発症し、それによって寿命を縮めるか、命は辛うじて救われても、回復困難な後遺症を残しかねないのです。特に、若い働き盛りの方々に合併症が起こった場合は、本人や家族の身体的・精神的負担のみならず、社会的な損失が重大となります。今回は健診の項目の中でもなじみの深い、高血圧について考えてみたいと思います。

1,日本人の高血圧
2010年の国民健康・栄養調査によると、30歳以上の日本人男性の60%、女性の45%が高血圧(上→140以上叉は下→90以上)で、おおよそ4300万人と言われています。この数字を鵜呑みにしていいのかどうかは別としても、高血圧は我々日本人にとっては、全く他人事ではないことはご理解いただけるでしょう。
2,高血圧とは
特定の持病のない若年者では、収縮期(上)140mmHg以上かつ/または拡張期(下)90mmHg以上と定義されています。
3,合併症
高血圧そのものでも急激な上昇を来すと、頭痛やふらつきなどの症状が現れる事はありますが、多くの場合は無症状です。ですから、以下のような合併症が足音もなく近づいて、ある日突然牙をむく様が、’Silent Kller(静かなる殺人者)’と呼ばれるゆえんです。
①脳卒中
脳出血、くも膜下出血、脳梗塞
②心臓病
虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、心不全
③血管性疾患
大動脈解離、大動脈瘤(破裂)
最近の話題として、運転中に大動脈解離を発症し、運転者自身がほぼ即死状態で、コントロールを失った自動車が歩行者に突っ込み、多くの死傷者がでたというニュースは記憶に新しいところです。高血圧を元々お持ちであったにか、治療されていたのか等の情報は有りませんが、高血圧がこの様な突発的でかつ重篤な合併症の基礎疾患なり得ることは、単純に恐ろしいとしかいいようが有りません。
④腎臓病(腎硬化症、慢性腎不全)
血液のろ過(老廃物の処理)が悪くなることで、進行し尿毒症に至ると人工透析が必要となります。
⑤網膜出血
視力を失ってしまいます。
4,健診の意義、活用法
健診での血圧測定はほぼ一発勝負です(2回測定で平均値算出される場合もあります)。健診という非日常的状況のみでも、緊張しやすい方ではそれだけで血圧上昇します。ただ、そこで引っかかって、医療機関を受診する機会を得ることが重要なのです。何故なら、受診され一過性の血圧上昇と診断されれば、生活指導のみで様子観察と判断されるわけですし、高血圧の再現性が確認されれば早期の治療導入や更なる精密検査の追加が考慮されます。高血圧以外に肥満、糖尿病、資質異常症なども併存していれば、心血管疾患の発症の危険度が高くなり、早期の治療導入を要します。当院へも、30ー40歳代の方で、健診結果で高血圧を指摘され、受信指示に従って来院されています。ただ、お仕事が多忙なためか、こちらの説明不足のせいか、若い方ぼど受診が途中で止まってしまうケースが多いように感じられます。自覚症状もなく、危機感が薄いこともありますが、仕事の忙しさにかまけて、結局放置状態になると、不幸にも静かなる殺人者の餌食になってしまうケースもあるのです。
ですから、通院継続が必要な方には、我々医療者側が責任を持って、医療継続の必要性を訴え続けないといけないと胸に刻んでおります。殺人者(合併症)が牙をむくその前までに・・・

投稿者: 内科・消化器内科 杉本クリニック

2016.04.26更新

GW中の当院の診療は暦通りで、4/30(土)、5/2(月)は平常通り診療いたしておりますので、お間違いないようにご注意ください。尚、連休中に定期薬切れ等がないか、もう一度ご確認いただき、そのような場合は連休前にご来院いただきますよう、お願い申し上げます。

投稿者: 内科・消化器内科 杉本クリニック

2016.03.12更新

今回は、胃がん検診に関してこの項で触れて頂きたいと思います。

ご承知のように、日本は歴史的に胃がんの罹患率及び死亡率が世界的に高く、そのための国家規模の事業としての、独自の検診が進められてきた経緯があります。
ところで、ここ最近、胃がん検診の方法が見直されようとしている潮流の変化をご存じでしょうか。従来、バリウム検査(正式には上部消化管X線造影検査)が主流でしたが、ここ数年、それに代わって内視鏡検査が採用される動きが見られています。特に、企業検診では地域検診よりもその傾向が顕著なようです。

では、長年にわたり重用されてきたバリウム検査での胃がん検診は何故、見直されようとしているのでしょうか。それは、胃(というより咽頭~食道~胃~十二指腸)の検査法として、内視鏡検査(胃カメラ)が広く普及してきたということと無関係ではない筈です。バリウム検査では、流れてきたバリウムが他の部分より深く濃く溜まれば、潰瘍などのキズないしは窪みを意味し、逆に周囲より明瞭なバリウムのはじきが生じておれば、ポリープなどの隆起性の変化として読み取れます。しかしながら、病変の高低が明瞭ではない場合、つまり限りなく平坦な変化であった場合は、病変の指摘は困難となります。さらには、内視鏡で、単に発赤(粘膜の赤み)や褪色(周囲より白っぽく色が抜けた状態;比較的悪性度の高いがんのことがあります)に対するバリウム検査での病変指摘は理屈からいうと、ほぼ不可能となります。

では、従来の胃のバリウム検査はもはや無意味なのでしょうか。
確かに、内視鏡検査と対比すると、上述してきましたいうに細部の観察においては僅かな変化の指摘は困難な場合があったり、放射線被爆が有りますので妊娠されている方は検査そのものが出来ませんし、そもそもバリウム自体飲みやすいものではない上に、検査後下剤を飲まないと便秘や下手をすると腸閉塞になりかねないといった、リスクをも生じかねません。しかし、バリウム検査では、微細な変化は捉えにくくても、胃から食道へのバリウムの逆流により《食道裂孔ヘルニア・胃食道逆流症》、胃粘膜のざらつき(専門的にはアレアの粗造などと表現されます)や皺の太まり・蛇行により《慢性萎縮性胃炎》が診断されます。さらには、内視鏡検査でも確定診断が困難な場合もある、いわゆるスキルス胃がんの胃壁の進展具合の悪さの指摘はバリウム検査の方が一目瞭然ということも有ります。もともと、内視鏡は細径化したとはいえ、液体のバリウムとは比較にならないくらい喉触りは良いものではなく、内視鏡にハードルの高さを感じておられる方には、一次検診としては比較的受け入れやすい方法論としての地位は揺るがないように思われます。
内視鏡検査の高画質化(更には特殊光観察、拡大観察等の併用)は検査の精度を高め、スコープの細径化や経鼻挿入は受診者の忍容性を向上させ、益々内視鏡検査の必要性は増すものと思います。一方で、胃検査の敷居を下げる役目もあるバリウム検査は胃がん検診から消えてゆく存在になるのではなく、内視鏡検査と並列で選択可能なオプションとして、また50年以上もこの国の胃がん検診を支えてきた歴史ある検査手法として、存続されることを個人的には望みます。はじめから内視鏡は嫌だけど、一次のバリウムで引っかかったから、二次では意を決して内視鏡検査を受けようか、というのもアリだと思うのですが。如何でしょうか。
追伸
とはいうものの、残念ながら当院もバリウム検査の設備はなく、専ら内視鏡検査一辺倒ですので、説得力が無いことをお詫びいたします。

投稿者: 内科・消化器内科 杉本クリニック

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