医院ブログ

2021.02.23更新

   西暦2020年という年は、実にこの国に56年ぶりの夏季五輪が帰ってくる記念すべき1年になる、筈でした。

 2019年11月末から12月初めごろに、中国長江とその支流である漢江の合流部に位置する1000万人都市 武漢からこの今世紀初の‘パンデミック’は始まったとさせています。
 元々、コロナウィルス(HCoV)は小児の風邪の原因ウィルスで、高熱がでるものの軽症で収束する、比較的大人しいウィルスでした。2003年に世界37か国で8000人以上に感染し、700人以上を死に至らしめたのは、この本家コロナウィルスから派生したSARS(Sever Acute Respiratory Syndrome;重症急性呼吸器症候群)ウィルスでした。幸いにも、SARSは日本で発症者を出すことなく、発見から4か月であっというまにこの世から消え去りました。その理由については当初、WHOを基軸とした各国の防疫体制が素晴らしく有効に機能したからなどと喧伝されましたが、この新型コロナ騒動から翻って考察すると全く別の理由が見えてきます。SARSは初期より急速に肺炎で発症し、あっという間に重症化してしまうので、動き回って他人に移してゆくことが極めて少なく、高い致死率ゆえにウィルスそのものの自滅を早め、早期終息したというのです。
 それに対して、新型(SARS-CoV-2)はどうでしょうか。感染者の80%は無症状か軽症(軽い風邪)で、最も恐ろしいのは、今まさに自分の目の前にいる、いつもと変わらない元気な(に見える)家族、友人、同僚らからも知らぬ間にどんどん感染が拡大していくというのです。ですから、SARSと違って瞬く間に、地球規模のパンデミックに陥ったというのです。また、さらなる落とし穴もいくつもありました。全感染者の30%を占める20歳代は、重症化率及び致死率が低いことをいいことに無防備に感染する傾向にあり、高齢者への感染拡大を助長したともいわれており、その移された側の高齢者は、体力の低下や基礎疾患を背景に、70歳以上で8%、80歳以上では20%と高い致死率(全年代では2%)という現実に直面しています。
 ただし、若年の感染者でも、退院後も数々の後遺症に苦しんでいる方がかなり多いという報告が多く出てきています。詳細は現在厚労省が取りまとめ作業中ですが、いろいろな統計を見渡しても、20歳代においても20%前後の人で退院2週間時点で、嗅覚低下、倦怠感、味覚低下、呼吸困難感、頭痛、脱毛、胸痛、集中低下等々の後遺症と思われる症状に悩まされているとのこと。人によっては、陰性確認後も数か月から半年以上経過しても未だに症状が持続し、闘病を余儀なくされ続けている方々がおられるというのです。つまり、若かろうとも移らない努力と、移さない心がけが如何に必要な感染症かということが、この感染症には肝になるようです。社会福祉大国であるスウェーデンは、このパンデミックでは何故か、この事態において対応を誤り、集団免疫の獲得と称し欧州各国が実施したロックダウンはエビデンスがないとして同調せず、その結果大規模な感染拡大が食い止められず、国王がその失政を認めるに至っております。同国が人口1000万人で、今月21日現在で感染者63万人、死者数12000人以上(人口10倍以上の日本では同時点で感染者42.5万人、死者数7500人)は、結果が全てを物語っております。
 昨年末から米国、英国を皮切りに、先進国を中心に各国で新型コロナのワクチン接種がスタートいました。わが国でもこの2月中に医療関係者の先行接種が漸く始まったところです。ワクチンの有効性に関しては、昨年末から徐々に囁かれだした変異株(英国型、南ア型、ブラジル型等)に対する有効性の低下の可能性が議論されてはいるものの、接種の進むイスラエルなどでは接種後の感染者数が激減しているデータなどから、おおむね良好な効果が期待されています。
 ただ、懸念されることはやはり接種後の副反応のデータの集積が乏しいことが、不安の源となり、アンケートで接種希望と見送り希望がほぼ半数ずつと反応に反映されています。海外の接種の状況からは、いわゆる急性重症アレルギー反応(アナフィラキシーショック)の発現率は100万人当たり数人から10人程度で、インフルエンザワクチンの100万人当たり1人と比べると最大で10倍にありますが、これを多いとみるかどうか・・。
 そもそもワクチンの趣旨は、免疫を有しない国民に広く接種することで、集団免疫を獲得し現在進行形のパンデミック拡大に終止符を打ち、平穏な日常を取り戻すことです。ですから、一人でも多くの方々が接種することが絶対条件なのですが、アンケート通りで、単純に人口の半分程度しか接種しなかった場合、当然ながら集団免疫は形成されず、その間に新たな変異株の出現を許し、パンデミックの波はその後も、非常事態宣言とgo to ○○の間で何度も何度も振り子の如く繰り返され、結果人々の心身は疲弊し、社会経済活動も再生困難なほどに荒廃し尽くす危険性はないのでしょうか?
 国は各国との争奪戦の結果、ワクチンの全国民分相当量を確保したとしつつも、最終的に接種の是非は個々の自己判断に委ねるという、一歩引いたスタンスをとっています。国策でありながら、接種の推進に今一つ『国主導』が見えずらい状況です。急性期のアナフィラキシー反応のみならず、データのない晩期での副反応なども今後疑われた場合に、国は薬害の被告となるトラウマが再びフラッシュバックの如く蘇るのでしょう。新三種混合ワクチン(新MMRワクチン)や最近では子宮頸がんワクチン(ヒトパピローマウィルス;※因果関係は最終的に証明されていません)のように。
 だとしても、データのないことに関しては、今、議論する意味もないし、時間もない。この国の、また世界中の人々の健康が、そして暮らしが、コロナによって破壊されつつある状況で、明らかに急性反応(特にアナフィラキシーショック)の高リスクと考えられる方々を除いては、基本的に社会とのつながりを持ち、日々生活をしている人々が集団免疫の獲得に向けて、出来るだけ多く参加されることが重要と考えます。その目標達成のためには、医療機関、医師会、各自治体がそれぞれの得意分野を生かして相互協力をしつつ、この壮大な国家プロジェクトの成功を目指して積極的に前に出ていくしかないと思います。そのためには、一定割合では起こりうるアナフィラキシーショックに対しては、各接種会場で万全の備え(エピネフリン注、ステロイド剤、気道確保器具、AEDなどの確保と緊急時対策マニュアルの整備)はこの事業推進には最低条件と思われます。不測の事態にもしっかり対応してもらえると理解が進めば、接種会場へ足を運ぶ人々には安心感が広がることと思います。
 ワクチン接種自体のみならず、アナフィラキシー対策も転ばぬ先の杖であり、全世界を覆う漆黒の暗闇に差す一筋の光明となることが、強く期待されています。

 当院も医療機関の端くれとして、門真師医師会に属するものとして、スタッフともども、門真市の集団接種には微力ながらお手伝いさせていただく所存です。

投稿者: 内科・消化器内科 杉本クリニック

2020.12.03更新

本年10月をもちまして開院5周年を迎えることが出来ました。
これもひとえに、患者様のご厚情とご支援の賜物と深く感謝申し上げます。
スタッフ一同、心を新たにし、地域の皆様の健康を守るべく一層の努力をする所存でございます。

これからも何卒変わらぬご愛顧、お引き立てを賜りますよう心からお願いし、5周年のお礼とご挨拶とさせていただきます。
今後とも、内科・消化器内科 杉本クリニックを宜しくお願い致します。

 

投稿者: 内科・消化器内科 杉本クリニック

2020.09.22更新

 65歳以上の方は、10月2日(金)から接種を開始致します。

 65歳未満の方は、10月26日(月)からとなります。

 今期のインフルエンザは、新型コロナウィルスと同時流行の可能性が懸念されてもいるため、早めの接種をお勧めいたします。
 接種をご希望の際は、お電話若しくはご来院時に直接ご予約下さい。

㊟予防接種のご予約は、お日にちのみの予約受付となっております。
 時間予約はありませんので、一般診察の方と同じく受付順となります。
 当日の混雑状況によっては待ち時間が生じることをご了承ください。
㊟お子様の場合、副反応への専門的対処が困難な場合もあるため、基本的に学童以上の方を対象と させていただいております。

投稿者: 内科・消化器内科 杉本クリニック

2020.05.06更新

パンデミックそして、インフォでミックの恐怖
2020年正月。オリンピック・イヤーの幕開けとして、国内全体に何かいつもとは違う少し浮足立つようなワクワク・ソワソワ感が漂っているような、そんないつものは少し違うお正月であったか。
そのような日本国内にあって、海の向こうの中国の内陸で起こり始めた騒ぎが、我々の肌感覚としては自分たちには直接関係のない別世界の話題であり、対岸の火事という程度の認識に過ぎなかった。いくら武漢という耳にすあまり耳にすることの少ないる都市で、急速な感染拡大が起ころうとも、死者数の増加がセンセーショナルに伝え始められようとも。
1月下旬、時は中国の旧正月の春節。毎年、国内のみならず世界中に数百万人が世界中に旅立つ。2019年には、優に600万人を超える数であったそうな。今年はこの新型コロナ騒ぎで、武漢を含む湖北省の人々は自制されたり、途中から規制されたりしたものの、規制前にすでに各国に入国してしまっていた人々が、この未知なるウィルス(COVID-19)のキャリアになり、春節から数えてこの2か月足らずで、瞬く間に世界中に拡散してしまったことは、報道等で皆さんもご承知の通りである。
以前におこった、SARS、MARS、日本国内でも広がりを見せた新型インフルエンザでは、感染の拡大が比較的地域限定であったり、感染力が然程強くなかったり、新型インフルエンザに関しては治療法が存在していたりと、人々の不安は限定的であったと思われる。しかし、このCOVID-19は徐々に判明しつつあるとはいえ、ウィルスの全貌は未だよくわかっておらず、予防法や治療法も今のところ確立しておらず、まさに人々にとって、悪魔のような存在である。もちろん、感染症の専門家と称するいろいろな方々が、‘軽症者が多く、重症化率や死亡率が然程高くない’だとか、‘そのうち、だれもが罹り(かかり)、克服する風邪の一般的なウィルスの一つになるだろう’など、楽観論を投げかけても、この姿なき悪魔は人々に恐怖と絶望感で包み込んでいくばかりである。
自らの意思のみならず、多くは国や地域社会の呼びかけにより、集会のみならず移動や外出の制限を実施することは、状況により必要であることは間違いない。ただ、その制限が不要不急に限るものを超えてしまうと、それこそ有史以前の狩猟時代、しかも小型動物を対象に個々に狩りを行っていたころの、完全個別自給自足時代(本当のこのような時代が存在したのかは不明)にまで戻ってしまうのではないだろうか。つまり、究極的には人同士のつながりを絶つことを求めるものになりはしないかと。もちろん、そのようなことは不可能であるのだが、えてしてこの21世紀に生きる現代人が世界的に初めて経験するパンデミックに遭遇して、より過激で過剰な排他的でかつ個人主義的な行動に走ると、ウィルスそのもののではなく、その行き過ぎた負の連鎖が過剰に自己防衛に走らせ、その結果、経済の混乱や社会秩序の崩壊を招き、それこそ20年遅れのノストラダムスの地球滅亡説を地で行くことになりかねない、というのはいいすぎだろうか。
このパンデミックという一連の恐怖は、ネットやSNSといった新しい通信手段に乗り、急速に色々な情報が拡散させてしまう。正確な情報のみならず、裏が取れていない不確かなものであったり、全く根拠のないフェイクニュースなどもあたかもそれらしい脚色を施されて、リアルニュースに紛れて拡散し、問題の解決を遅らせるいわゆるインフォデミックが、より事態を深刻化させていく。
この先の予測は全く不透明である。もちろん、日本国民の期待を背負った世界的イベントの行方もひとまずは1年後に先延ばしになったが、来年中に行えるかどうかは、誰にも見通せない。ただし、そろそろ4Gから5Gへと切り替わろうとしている現代社会の情報や通信の発達はマイナスに作用すばかりではない。当然ながら、ウィルスの判定に欠かせない検査、治療薬、加えて予防ワクチンに関して、現在世界中の研究者、各種公的保健機関、民間医薬品メーカー等々がかなりのスピードで開発を進めていることは間違いない。特に、民間のメーカーは社運をかけて開発を進め、言葉は悪いが一発当たれば、莫大な利益と社会的貢献への評価を手中にするため必死であろう。そのため、予想より早くこの未知の悪魔を克服できる日はそう遠くないでは、と希望的観測も込めて願うばかりである。
その日が来るまでは、色々な意味で‘忍耐’が必要も知れないが、不要不急・・は当たり前としても、全員がほんの少しだけ普段より自分に対してはほんの少し厳格にする、例えば、いつもより丁寧に手洗いをすること、咳エチケットやソーシャルディスタンスを守ることなどが自分自身を、ひいては家族や社会全体をも守ることにつながるのではと考えるのだが。
最も恐れる敵はこの姿なき敵そのものではなく、人々の奥底に潜む排他的で利己主義的で猜疑的な感情ではないかと思う。ウィルスの脅威が去ったとしても、このような負の感情は一旦、人々の心の中に深く強く根ざしてしまうと、原因が去ったのちにもその根茎は容易には排除されず、友人知人間の結びつきのみならず、地域社会などの結束や助け合いにも、深刻な歪を残すのではないかと懸念される。
そうならないためにも、デマに惑わされることなく正確な情報を皆で共有し、適格な対処を心がけていきたいものである。

 

投稿者: 内科・消化器内科 杉本クリニック

2019.08.03更新

第97回 日本消化器内視鏡学会総会に出席して

 同会に出席させていただき、特に今回関心を集めた内容に関して報告させて頂くとともに、その内容に関しての私見を述べさせていただきます。

 数年前より、医療分野においても、いわゆる『AI(人工知能)』の導入が話題を集めております。それに先んじて、外科領域でのロボット手術は特定機能病院といわれる大学病院などのみならず、地域の中核病院にもここ数年で急速に普及していることは、各メディアからの情報の通りと思います。ただし、術者(=ロボットのオペレーター)は、あくまで生身の熟練医であり、ロボットはあくまで、手術のツールの一つに過ぎないということでした。
 しかしながら、複数の熟練医の知識、技術、様々な経験値のビックテータを集積/統合し、AIがロボットと一体化して手術を完遂するという時代が、もう近い将来に実現できるであろうということを、現役の某大学病院の消化器外科主任教授の講演で聞き及びました。日本の消化器外科分野を牽引されているご本人が、『我々の力は、10年とまでいかないこの先数年以内に、AIに手術の術者の仕事を奪われるであろうことは、ほぼ間違いない』というセリフは、内科医であるこの身にとっても十分に衝撃的でした。
 我々が携わる消化器内視鏡の世界でも、AIがポリープやがんの診断を行う臨床試験は2010年台に入り行われておりましたが、今年の初旬には保険収載(保険診療が認可)されました。今回の学会において、その開発と臨床試験を実施された施設からの発表があり、非常に興味深く聞き入りました。
 その概略は以下の通りです。
① 現在、このAI診断が可能な内視鏡検査は、大腸疾患のみである。
② ポリープであれば、腫瘍(腺腫、又は大腸がん)vs非腫瘍であるかの区別までが可能。また、潰瘍性大腸炎などの炎症性疾患では、粘膜の炎症が活発(活動性)vs鎮静化している(非活動性)なのかが、診断可能。
③ 正確性も高く、非常に優秀であるようです。診断の過程をもう少し詳しく説明しますと、従来の通常観察の画像で上記のような診断をAIが行うのではなく、超拡大内視鏡といって、光学的拡大で500倍以上(従来の拡大観察は100倍程度)という、顕微鏡レベルの拡大観察を生体のまま行い、その画像をAIが瞬時に診断するという画期的な診断ツールです。

 AIの診断力もスゴイのですが、昨年発売された超拡大スコープです。従来、内視鏡で病変が疑われた際は、生検(biopsy)と称して組織採取し、永久標本を作製し、病理医に診断をゆだねております。それが、組織採取せず、生体のまま、顕微鏡レベルの拡大観察を行い、病理医の診断を経ず、内視鏡観察のみで最終診断を行うというものです。組織採取しないことにより出血もなく、循環器疾患などにより血をサラサラにするお薬を飲まれている方でも出血の危険もありません。一連の手順としては、内視鏡の挿入や操作は従来通り、検査医が行い、病変を見つけた際には、その部分に近接した後に拡大していき、最大倍率で細胞レベルの像を得れば、AIボタンを押す。すると、1秒前後でAIが診断を行ってくれるというものです。
 ただ、長所ばかりではなく、短所としては、上記のごとく、まずは大腸疾患にのみ適応されているということ、腫瘍vs非腫瘍、(炎症の)活動期vs非活動期といった、まだ比較的単純な診断にととどまること、機器のコストが相当かかる、といったことが挙げられます。
 では、今後AI搭載内視鏡がさらに普及し、更なる進歩を遂げ、ほぼほぼ内視鏡医にとって代わる時代が来たと仮定したとき、それが本当に検査の被検者の皆さん(患者さん)にとって、プラスになることばかりかと考えると、甚だ疑問です。AI内視鏡は複数の熟練医の経験に基づいた知識と技術を統合したものではあるけれども、常に新しい情報や技術は、日々内視鏡診療を継続する現場医師の鋭い着眼から発見されたり、試行錯誤の結果として生み出された診断学及び治療法に結実しているものです。
一例を申し上げると、早期胃がんで現在全国の多数の病院で実施されている、内視鏡的年下層剥離術(ESD)は20年以上前に国立がんセンター中央病院(現在の国立がん研究センター中央病院)を中心として、全国で数施設しか行われていませんでしたが、内視鏡医への教育システムや器具の開発が急速に進み、この日本発の治療はこの20年で国内では食道、大腸も含めて標準治療となり、瞬く間に全世界に普及していきました。
このような医療の創造性や発展性というものを、‘こころを持たない’彼ら(AI)に期待することは、おそらく不可能です。
また、被検者の内視鏡を受けることのつらさや苦痛を減らそうとしてくれるでしょうか? 検査結果の説明を被検者の背景(仕事、家族)や本人の精神状態などまで考慮しておこなうことをもとめるのは、‘酷’ですよね。
 
そう考えていくと、医療全体に通じることかもしれませんが、人の体(心も)に寄り添うことができるのはやはり、生身の人間でしかないのでは、と思ってしまいます。だから、機械やAIというのは、あくまで便利なツール(道具)として利用するにとどめ、主-従の関係は変わらないのではないか、と思う今日この頃です。出来損ないの‘生身’
のひがみなのでしょうか。

 

投稿者: 内科・消化器内科 杉本クリニック

2019.03.08更新

『血便』、その原因/正体を考えてみます。
血便という言葉から、皆さんはまず何を想像されますか?
多くの方は良性疾患の代表である『痔』を連想される方が多いのではないでしょうか。また、一方、悪性疾患の代表である大腸がん(または直腸がん)が頭に浮かぶという方も少なくないでしょう。
 血便のことを考える前に、そもそも『便』とは何でしょうか?お食事中の方は申し訳ありません。当然ながら便は、日々摂取された栄養源である飲食物を7-8メートルもある筒状の臓器内で様々な酵素やホルモンによって消化と称して、栄養分を取り込みやすい形態に変化させ、順次小腸で吸収してゆきます。この時、吸収に至らず大腸へ送り込まれた泥状の謂わば残り物が、水分の吸収を受け徐々に塊となり、肛門を経て排出(排せつ)されるものが、言うまでもなく、便(大便)です。
 この便に、主に消化管内で何らかの原因で流れ出た血液が上述の便と混ざり合って出てきた便のことを血便と呼んでいます。よく似た意味合いで使用される用語には、下血というものがあり、主に口から吐き出す吐物に血液が混ざるものを吐血と呼び、下から(肛門から)出る血液を下血とも呼んでいます。実際には血便も下血も然程厳密には区別されていないので、本稿では血便と統一いたします。
 多くの方は血便の色は血液そのものの色である、鮮紅色を想起されることが多いとおもいます。しかし、実際には、暗赤色から殆ど真っ黒(コールタール様、イカ墨様)という血便もみられることがあります。この色調の違いは、主に消化管のどこから出血しているのかということが関係しています。つまり、肛門に近ければ近いところでの出血であればあるほど、便とともに出てくる血液はより鮮やかな赤っぽさを呈します。逆に、肛門から遠ざかれば遠ざかるほど、色は暗く黒色に近づき、炭(墨)のような色になります。特に、胃やその周囲(口の中、食道、胃、十二指腸)の出血(時に鼻血を飲み込んだ場合)は、ギョッとするような黒い便が出てくることがあります。逆に、明るく、鮮やかな紅色の場合は肛門に近い場所の出血が疑われますが、一点留意すべきことは、便通の状況です。つまり肛門に近い、直腸やS状結腸などから出血があっても、便秘が強いと血液がその場にとどまているうちに腸内で酸化し黒ずんでしまう可能性はあるため、この点も考慮する必要が生じます。
 消化管出血は特に出血量が多い場合は生命を脅かし一刻を争うことすらあり、行うべき精密検査(内視鏡検査)が上部内視鏡検査(胃カメラ)かまたは大腸内視鏡検査であるのか、便の色が重要な判断材料の一つになります。ただし、真っ赤であるにせよ、真っ黒であるにせよ、出血量が多い場合は、その出血原因(出血源)がどうであれ、体にとっては緊急事態であるため、できるだけ早急に医療機関への受診をお勧めします。特にめまい、立ち眩み、冷や汗、倦怠感(だるさ)、血圧低下、脈拍(心拍)が多かったり動悸を自覚するような場合は、迷わず救急車を呼びましょう。
 では、便に少しだけ血液が付着している場合はどうでしょうか。便の表面に少量ないし薄っすら血液が付着している、又はトイレットペーパーで拭いたときに血液が付着した、というケースです。この場合、出血量は多くはないため、緊急性は高くありませんが、問題は付随する症状(腹痛、肛門痛、下痢、嘔気/嘔吐、食欲低下、めまい/ふらつき)がなかったり、血便自体がその後自然に治まってしまって、そのまま受診せずに放置してしまう場合です。
折角(?)の病気のサインをみすみすスルーしてしまうことになってしまい、場合によっては大腸がんなどの病気の進行を許してしまうことになりかねません。このことは、大腸がん検診で陽性反応が指摘されたにもかかわらわず、放置されてしまうケースにも当てはまります。
どうせ、自分は痔があるからと‘自己診断’されると、思わぬ落とし穴に落ちることがありますので、どうぞお気を付けください。仮に痔があっても、その先につづく腸の中に出血の玄原因になるものが存在するかどうかは、検査するまではわかりませんので・・
40歳以上など、一定の年代以上では、肉眼的な血便にせよ、検診での便潜血反応にせよ、受診動機に繋がりやすいのですが、30歳以下の若年者では、なかなか受診にまで至らないことが多いように思われます。確かに、大腸がんや大腸ポリープなどの腫瘍性病変の確率は低いものの、若年者に多い疾患の可能性も否定できません。代表的なものには潰瘍性大腸炎やクローン病といった特発性炎症疾患(IBD)や若年者に多いポリープで、その名の通り若年性ポリープという疾患もあります。
よって、年齢にかかわらず、血便を認めた場合は早めのタイミングで、専門医への受診をお勧めします。

 

投稿者: 内科・消化器内科 杉本クリニック

2018.12.24更新

【年末年始の休診日】 12月28日午後~新年1月3日

*新年1月4日より通常診療を行います。お間違えないよう宜しくお願いいたします。

投稿者: 内科・消化器内科 杉本クリニック

2018.11.18更新

皆さんは普段どの様に医療機関とかかわりをお持ちでしょうか?

最も多いのは、何らかの自覚症状のある場合、例えば風邪ひき、息苦しさ、腹痛、腰痛、膝痛、むくみ、ふらつき、発疹、耳鳴り、視力低下等々、まずは、じっと辛抱しても、手持ちのお薬を飲んでみても回復が実感できない時は、背に腹は代えられないため、最寄りの医院や病院に駆け込みますよね。
また、高血圧、糖尿病などに代表される生活習慣病などの慢性疾患に対して、半ば習慣的に定期通院されておられる方も多くおられます。
現在症状なく、特に定期通院のない方でも、健診(検診)で引っ掛かり要精査又は要治療として、医療機関の門たたく方もおられます。
上記に述べました方々は、症状の有無にかかわらず、既に現在進行形である体内の変化(病的かどうかは別として)に対して、原因を追究し、必要とあればその原因を体から取り去り、元の健康な状態に戻し、治療を継続することで安定した状態を保つことが目的となります。胃がん検診で胃がんが見つかり、内視鏡的切除又は外科手術を受け、時に抗がん剤治療なども受けられ、がんを排除ないしはコントロールしている、というような状況でしょうか。
では、何ら症状がなく、健診などでもなんら異常がなく、精密検査や治療すべき状態でなければ、当然、『健康優良(人)』として医療機関へのかかわりは殆どない、というより必要ないといってよいでしょう。ただし、転ばぬ先の杖とでも言いましょうか、その先に起こる可能性高い体調変化(発症とまで言ってもよいでしょう)を未然に予防することにも係わらせていただくことはあります。ここまで述べますと、多くの方はお気づきのことと思いますが、来るべき冬季に流行する(そうで無いともありましたが)インフルエンザに対してのワクチン接種が、予防医療としては国内では最もしられたものかもしれません。それ以外にもすでに到来しつつある高齢社会においては、シニア世代の肺炎の起因菌として最も多い、肺炎球菌のワクチン接種も地自体のコスト負担も進み、最近では受けられる方の多い予防の代表です。
乳児から高齢者に至るまで、ワクチン接種を中心とした予防医療は、行政が主導的に管理・統括することが重要です。地域的に時に国家的に、もしかすると世界的なパンデミックでは爆発的な感染拡大を来してしまうことで、広域かつ深刻な健康被害をもたらし、ひいては経済活動の低下などへも地続き的に連動し、国家的な人的、経済的な損失なりかねません。
たかがインフルエンザ、されどインフルエンザです。1918年から1919年にかけて全世界的に猛威を振るった、悪名高きスペイン風邪では、世界中で5億人が感染し5千万~1億人が死亡したとされています。CDCのカテゴリー5と史上最大級のパンデミックで、第1次世界大戦もこの影響で終結が早まったのではないかとも言われるくらいの、まさにその時代に生きれいれば、ノストラダムスの地球滅亡説を地で行く世界観とでもいいましょうか?
医療機関にめったにお越しにならない方から、自分は普段元気に過ごしている、痛くもかゆくもない、おなかは減るし、毎朝《バナナみたいな》いい便が出ています。だから、めったにこういうところには来ないんです、とおっしゃる。こちらも、こういう所(医療機関)には、あんまり関わり合いにならないほうがいいですよねー、とお返します。しかし、もし、スペイン風邪に匹敵しなくても、流行前にワクチン接種していなければ、肺炎や脳炎といった最重症の合併症を発症しなくても、相当に体力を消耗し、体調の回復までにはかなりの時間を要してしまうと、仕事や学業にも相当なダメージに繋がることは容易に想像されます。それこそ、この時期の重大行事である入試と重なってしまうと、下手をすると一生の後悔につながる恐れもあります。
ただし、ワクチンは万能ではありませんので、接種すれば罹らないわけではありません。
罹っても、症状が軽く済み、回復までの時間短縮に効果的であり、体力の低下を最小限にとどめられる可能性ある、というものです。
それでも、何と言っても罹らないに越したことはないのです。人込みではマスクを使用し、屋内外の移動後は流水での手洗いと咽頭うがいで、出来るだけ体内と家庭内にウィルスを持ち込まない、持ち込ませないことが最重要です。そのうえでの、ワクチンでの併用が感染予防かつ重症化回避には必須と思います。

 

投稿者: 内科・消化器内科 杉本クリニック

2018.11.08更新

当院では10月13日に、クリニック3周年感謝祭を開催いたしました。

【イベント内容】
☆血管年齢・ストレス測定器
『ボディチェッカー』

☆焼きたてメロンパンの無料配布

☆ポーセラーツサロン『Miuliir』の
イベントレッスン
(マグカップ・角皿・お茶碗・ペン立ての中からチョイス)

ボディチェッカーは前評判通りの大人気でした。
ポーセラーツも、お一人で複数の作品を作られる方や、ご自身の趣味の作品を持参してご披露くださったりと、和気あいあいと楽しいレッスンになりました。

今後とも、当院をよろしくお願いします。

3周年

3周年

3周年

3周年

投稿者: 内科・消化器内科 杉本クリニック

2018.07.23更新

来る7月27日(金)14時より、門真市保健福祉センター内で、『がんについて;特に胃がんと大腸がんのお話』をさせていただくこととなりました。
詳細のお問い合わせは、門真市健康増進課(TEL 06-6904-6400)までお問い合わせください。お時間のある方は、是非この機会に一度、がんについて知識の整理にお役立ていただければと存じます。胃がんに関しては、最近新聞やテレビでもおなじみのピロリ菌との関連にも触れたいと思いますので、ご期待ください。

投稿者: 内科・消化器内科 杉本クリニック

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