医院ブログ

2018.11.18更新

皆さんは普段どの様に医療機関とかかわりをお持ちでしょうか?

最も多いのは、何らかの自覚症状のある場合、例えば風邪ひき、息苦しさ、腹痛、腰痛、膝痛、むくみ、ふらつき、発疹、耳鳴り、視力低下等々、まずは、じっと辛抱しても、手持ちのお薬を飲んでみても回復が実感できない時は、背に腹は代えられないため、最寄りの医院や病院に駆け込みますよね。
また、高血圧、糖尿病などに代表される生活習慣病などの慢性疾患に対して、半ば習慣的に定期通院されておられる方も多くおられます。
現在症状なく、特に定期通院のない方でも、健診(検診)で引っ掛かり要精査又は要治療として、医療機関の門たたく方もおられます。
上記に述べました方々は、症状の有無にかかわらず、既に現在進行形である体内の変化(病的かどうかは別として)に対して、原因を追究し、必要とあればその原因を体から取り去り、元の健康な状態に戻し、治療を継続することで安定した状態を保つことが目的となります。胃がん検診で胃がんが見つかり、内視鏡的切除又は外科手術を受け、時に抗がん剤治療なども受けられ、がんを排除ないしはコントロールしている、というような状況でしょうか。
では、何ら症状がなく、健診などでもなんら異常がなく、精密検査や治療すべき状態でなければ、当然、『健康優良(人)』として医療機関へのかかわりは殆どない、というより必要ないといってよいでしょう。ただし、転ばぬ先の杖とでも言いましょうか、その先に起こる可能性高い体調変化(発症とまで言ってもよいでしょう)を未然に予防することにも係わらせていただくことはあります。ここまで述べますと、多くの方はお気づきのことと思いますが、来るべき冬季に流行する(そうで無いともありましたが)インフルエンザに対してのワクチン接種が、予防医療としては国内では最もしられたものかもしれません。それ以外にもすでに到来しつつある高齢社会においては、シニア世代の肺炎の起因菌として最も多い、肺炎球菌のワクチン接種も地自体のコスト負担も進み、最近では受けられる方の多い予防の代表です。
乳児から高齢者に至るまで、ワクチン接種を中心とした予防医療は、行政が主導的に管理・統括することが重要です。地域的に時に国家的に、もしかすると世界的なパンデミックでは爆発的な感染拡大を来してしまうことで、広域かつ深刻な健康被害をもたらし、ひいては経済活動の低下などへも地続き的に連動し、国家的な人的、経済的な損失なりかねません。
たかがインフルエンザ、されどインフルエンザです。1918年から1919年にかけて全世界的に猛威を振るった、悪名高きスペイン風邪では、世界中で5億人が感染し5千万~1億人が死亡したとされています。CDCのカテゴリー5と史上最大級のパンデミックで、第1次世界大戦もこの影響で終結が早まったのではないかとも言われるくらいの、まさにその時代に生きれいれば、ノストラダムスの地球滅亡説を地で行く世界観とでもいいましょうか?
医療機関にめったにお越しにならない方から、自分は普段元気に過ごしている、痛くもかゆくもない、おなかは減るし、毎朝《バナナみたいな》いい便が出ています。だから、めったにこういうところには来ないんです、とおっしゃる。こちらも、こういう所(医療機関)には、あんまり関わり合いにならないほうがいいですよねー、とお返します。しかし、もし、スペイン風邪に匹敵しなくても、流行前にワクチン接種していなければ、肺炎や脳炎といった最重症の合併症を発症しなくても、相当に体力を消耗し、体調の回復までにはかなりの時間を要してしまうと、仕事や学業にも相当なダメージに繋がることは容易に想像されます。それこそ、この時期の重大行事である入試と重なってしまうと、下手をすると一生の後悔につながる恐れもあります。
ただし、ワクチンは万能ではありませんので、接種すれば罹らないわけではありません。
罹っても、症状が軽く済み、回復までの時間短縮に効果的であり、体力の低下を最小限にとどめられる可能性ある、というものです。
それでも、何と言っても罹らないに越したことはないのです。人込みではマスクを使用し、屋内外の移動後は流水での手洗いと咽頭うがいで、出来るだけ体内と家庭内にウィルスを持ち込まない、持ち込ませないことが最重要です。そのうえでの、ワクチンでの併用が感染予防かつ重症化回避には必須と思います。

 

投稿者: 内科・消化器内科 杉本クリニック